通信制高校というと学校に馴染めない子だったり、高校中退した人たちが改めて高卒資格を得るために通うイメージかもしれません。
確かにそういった子たちの受け皿としての役割がありますが、実は通信制の特徴を生かし、空いた時間を有効に使って、その子たちが伸びる学習に取り組んでいる学校が数多くあります。
ここでは、これから高校を決める中学生の親にとって、私立の通信制高校のメリットをお伝えし、通信性ならではの特徴を紹介します。
私は、現在3人の子を持つ親ですが、その長男は通信制高校から一般受験で国立大学現役合格。中学のときは、通えない時期もありましたが、今では充実した大学生活を送っていて、本当に良かったと感じています。その国立大学へ行くきっかけを作ってくれたのが通信制高校です。通っていたからわかる通信制の良さを体験談も踏まえてお伝えします。
私立通信制高校のメリット
初めにお伝えするのは、本来の通信制の特徴である自宅だけの学習のみでは、あまりメリットは感じられないかもしれません。もちろん、学校に馴染めず行くのが怖い子供たちや仕事をしながら高卒資格をとりたい人には、それだけでも通信制のメリットはあります。
ただ、私立の通信制高校では、ほとんどが通信だけではなく、毎日通うことが出来る環境を整え(キャンパスやサポート校という別の枠組みで設けられた学校)、子供たちが楽しく学び、その子の主体性を伸ばす様々な取り組みを行うことで、全日制では見つからないその子本来の力を引き出します。
私立通信制高校のメリット
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サポート体制がしっかりしている
通信制高校はどうしても中学校時代は学校に馴染めなかったり不登校だったりと、そういった生徒を多く受け入れています。そのため、カウンセリングができる先生が豊富にいたり、すぐに相談できる体制が整えられています。
また、毎日通うことを前提にしている学校では、もし学校が馴染めなかった場合、本来の通信性での勉強に変更することが出来るので、退学や留年することはなく、卒業させることが出来ます。
その子にあった学び方が選べる
全日制のように偏差値で区分けされていませんので、様々な生徒が入学してきます。当然、勉強が疎かで中学の勉強がほとんど解らない生徒もいれば、中学まではトップクラスの進学校に通っており、すでの高校の勉強がある程度できている生徒もいます。
そういった様々な生徒をクラスを同じにして1人の先生で教えるということは当然なく、一人一人の生徒のレベルに合わせて、クラス分けをし、その子に合った先生がつきますので、勉強が苦手な子も得意な子も平等に成長できます。
この辺りは進学塾というより総合塾のようなイメージと思えばわかりやすいでしょう。
卒業単位数は3年間で取得すればよい
通信制と定時制は単位制を採用しています。
卒業に必要な単位は74単位(実は全日制も同様)で、単純に1年で25単位取得すればよい計算です。ただし1教科2単位が基本ですので、年間奇数はありえませんが。
全日制の高校での取得条件は、50分授業を35回以上受け、テストに合格することで単位が取得し、これを1年間のうちで必要科目を全て取得しないと留年してしまいます。
これに対し通信制の取得条件は、課題のレポート提出とテストにスクーリング(先生との面談)で単位を取得でき、またこの単位は3年間の間で取得すればよいです。
そのため、1年生で単位を落としても2年生で単位を取得できればよく、結果留年することはありません。ただし、3年間で卒業の取得単位が取れなければ、4年目があるという形になります。
また最近では、紙媒体よりも、リモートを使っての動画配信を採用している通信体制が整えられ、リモート環境が整ってさえ入れば、世界中どこででもできます。
そういった利点を使ってクラーク記念国際高等学校(長男の学校)では、長期海外留学をしながら3年で卒業できる仕組みを作っています。
多彩な学習が学べる
私立の通信制高校は、必ず高等学校としての国の認可が必要となりますので、都道府県のどこかに本校があります。
そして、その本校から全国各地のビルの一室やビルごと借りて、キャンパスと呼ばれる教室や国の認可が下りていない民間教育機関のサポート校と手を組んで、全国各地に展開しています。
そのキャンパスやサポート校では、取得単位の教科以外に予備校とタッグを組んで国公立大や有名私立大学への進学に特化した学習を行うこともできます。また、海外の先生が常駐している英語学習や専門学校と協力したプログラミング、音楽、アニメ、声優といった生徒が喜びそうな学習など、多種多彩な学習が学べることで、夢や目標をもつことが出来ます。
【通信高校に悩んだら】 |
私立通信高校のデメリット
このようなメリットがいっぱいではありますが、当然デメリットもあります。
学費が高い
学費は通信制高校(本校)へサポート校またはキャンパスへの二重に支払います。本校へは高卒資格を取得するための学費を納め、サポート校やキャンパスには多彩な教科学習の学費を納めます。
ただ、高卒資格取得の学費は、高等学校等就学支援金制度(高校無償化)で無償になります。考え方ですが、サポート校へ納める学費を塾代と割り切ることもできますので、公立の高校で進学塾へ通う場合と差ほど変わりません。
全日制の高校生活とはやはり違う
毎日通うスタイルの通信制高校では、全日制の高校生活のように見えますが、残念ながらちょっと違います。本校でなければ、グラウンドや体育館がないのは当たり前で、音楽教室や理科の実験室もなかったりとやはり通常の学校とは大きく違います。
また場所にもよりますが、黒板ではなくホワイトボードでの授業も多く、学校というより、進学塾に毎日通っている感覚でしょうか。
自主的に学習しなくてはならない
毎日通っていれば卒業できる全日制と違い、必ず課題レポートを提出しなくてはなりません。
これは、親にとっては自主性を持つことが出来る最大のメリットと捉えられるかもしれませんが、子供にとっては、これが少しづつ重荷に感じることも。
例えば、よく小学校に入るとチャレンジ1年生などの自宅教材を使い始めますが、6年生ではかなり辞めてしまっていますよね。なので毎日少しずつでも続けることの大変さは通信教育にはあります。
偏見がある
どうしても通信制=不登校というレッテルをはる人が多いかと。
もちろん、そういった生徒も多いですが、先々のことを考えてあえて通信制高校に入学させた親も少なからずいます。
こういった親の意見のひとつに「どんなに全日制が子供の将来を見据えた学習要領ではないかを上の子で痛感させられた」といい通信制に通わせています。
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公立の通信制は社会人向け
ここで公立の通信制についても少し触れさせてください。
公立の通信制は、授業料も安く、ほとんどお金が必要ありませんが、あくまでも高卒資格を取らせることを目的のため、サポート体制は少なく、自分の力で課題をやり遂げなくてはなりません。
そのため、自分で学習方法が確立できなければ、挫折してしまいます。また、ほとんどが家での生活となりますので、生活リズムを崩さないよう、規則正しい生活をおくり続けなければ、通信制は続きません。
そういったことで、実際に卒業する生徒は入学当初の半分程度になるようです。
ですので、高卒資格を取ることを目的としている社会人や、他の高校では馴染めず転入学や編入学した生徒で生活習慣がとれている生徒でないと、なかなか卒業は難しいでしょう。
中学生からそのまま公立の通信制高校へ行くことはおすすめしませんし、中学の担任の先生からも反対すると思われます。
ただ、以前聞いた話ですが、難関大学進学のみを重点にもち、余計な勉強はせず3年間大学受験を注ぎたいとの思いで公立の通信制高校へ通っていたとの話はありました。
まとめ
私立の通信制高校の良さはご理解いただけたでしょうか。
決して全日制高校や公立の通信制を非難するわけではなく、本来子供たちでかけがえのない時間を桜花して欲しいという気持ちが一番強くあります。
ただ、さまざまな境遇で小学校や中学校を過ごした子供たちにとっては、この高校時代は目標を持って過ごしてほしいと思います。
最後に、今回の新型コロナウイルス蔓延した状況での通信制高校は、全日制高校と違って、初めからリモート環境が整備されていたことで、授業の遅れがなく進められました。うちの長男の話ですが、全ての授業がリモート授業で行っていたことで、部屋で出来る体育の授業や家のキッチンを使っての家庭科の授業もしていました。
最近では多様な働き方について話題が出ていますが、多様な学習方法も見直されています。こういった観点からも通信制もクローズアップされ、今後は偏見が無くなるのではないかと願っています。