中学生の子供を持つ親の悩みとして「急に親の言うことに対して反抗的になった」「会話も少なくて親に相談してくれない」「最近では何を考えているかわからない」など小学生では感じなかった悩みが出てきます。
今は反抗期だからしょうがないと距離を置くのではなく自分の意識を変えることによって距離は縮まります。ここでは意識を変えるための3つのポイントを解説し、反抗期に突入した子供を持つママさんパパさんが少しでも心のゆとりを感じられるようになれれば幸いです。
アドラー心理学との出会い
私の子供たちは、現在大学生の長女と長男、そして高校生の次女の3人。
中学生のときの子供たちは、長女は中学3年の時にリストカットを続けて入院。長男と次女も友達からのいじめから学校へは数える程度しか行けず不登校でした。特に次女は小さい時にアスペルガー障害と病院で診断されたこともあり、小学校からあまりクラスに馴染めませんでした。
以前の私は、子供たちに自分の理想を押しつけたり、固定観念も強かったことは否めません。また、常に他人にどう見られているか意識しすぎていました。
そんな状況の中アドラー心理学と出会い、アドラーの考え方が私の持っていた子育て像を一掃し、そこから子育ての考え方が変わりました。
結局、子供たちが反抗したりトラブルが絶えない原因を作ったのは親である私であることをまざまざと感じたことで、私自身が変わり子供たちも大きく変化していきました。
今では長女は看護大学で看護士を目指し、長男は国立大学で理学部で物理学を学んでいます。次女も通信制の高校に通い、みんな楽しく学生生活をエンジョイしています。
ポイント
・横の関係を築く
・自分と子供を分けて考える
・ひとは常に誰かとつながっている
【ブログ紹介】 |
アドラー心理学とは
アドラー心理学とは、オーストリア出身の心理学者であり精神科でもあるアルフレッドアドラー(1870年~1937年)が「個人の心理学」を提唱し、近年日本でもアドラーブームを巻き起こしました。
岸見一郎著書の「嫌われる勇気」といったほうがピンとくる方も多いかもしれません。
フロイトとユングとともに臨床心理士の基礎を築き、心理学の三大巨頭の一人と称されています。
アドラー心理学の特徴は、あらゆる対人関係は縦ではなく横のつながりであり、人と人とは対等であるという考えに基づいています。
人と人とは対等でなくてはならない
他にも、私が最も子育てに役立っているアドラー心理学で役に立った本のひとつに、岸見一郎著の「人生の意味の心理学ー変われない?変わりたくない?」と「子どもをのばすアドラーの言葉」がありました。特に岸見一郎さんのが書いた著書は、岸見さん自身が子育てに悩んていたこともあり、どれも共感できる内容です。
とても参考になりますので、子育て中のママさんやパパさんには是非一度目を通していただければと思います。
横の関係を築く
親と子は対等でなくてはなりません。特に親子の関係はひとつ間違えると上下関係を強要しやすく、それにより子供たちは心を閉ざしてしまいます。ここでは、横の関係を築くための2つのポイントを紹介します。
ポイント
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子供たちの声に耳を傾ける
子供たちの小さな声に耳を傾けてみてください。実際にはけっして声とは限らず、子供たちの行動や態度の中に今子供たちが悩んでいることが潜んでいます。
中学生ともなると悩みを自分で解決するように思考していきます。その反面、心の底では親に頼りたいという気持ちも強く持っており、それが言葉ではなく態度で現れてきます。
子供によっては暴力的になったり、突然甘えたり、ひと言もしゃべらなかったりすることがありますが、本当は頼りたいことの現れです。そういった態度が出てきたら「何か悩みを抱えてきているんだろうな」と思ってみてください。
- 急に怒り出す
- 物に当たる
- 親に暴言を吐く
- 親を無視する
- 部屋に閉じこもる
- 髪を染める
- 物を盗む
これらの行動は反抗期に見られる行動ですが、実はこのあたりは親や大人の発言によってあからさまに態度として表れる行為です。この場合はカッとならずにその行為に同調する気持ちで対応することが大切です。
ひとつ例として「子供が物を盗む行為」を上げると、その行為は親のしつけが厳しい現実が潜んでいます。物を盗む行為自体は悪いことですので注意は必要ですが、その行為を及んだ心の底の叫びは親の態度にあるわけです。
最近では特に多いのが、子供の窃盗で、学校内でのクラスメートから物をとる行為や親から金を盗み行為などの相談が目立ちます。また学校で粗暴行為や万引き行為などの相談も多く、ほとんどが常習化しており、いずれも治療に難渋することが多いケースです。その原因の発端は親の厳しいしつけが原因となっていることがおおく、親からは子供が悪いことをしているから怒って当然であるとの考えから抜けれません。
このように親の一方的な考えを押し付けることは子供自身の発言を萎縮し、結果、親を困らせる行動に移るのです。
この場合「物を盗んだのは私たち親の問題である」と認識し、「そういった行為をさせてごめんね」と言えるように子供に接することができれば少しずつ打ち解けていくことができます。
一緒に悩み一緒に考える
もし子供の口から悩みを打ち明けてきたら、絶対に親なりの答えを出さずに、一緒に悩んでみてください。
これは子供に限らず大人も同様で、相談者としては答えを欲しいわけではない場合が多くあります。
特に子供の場合は、すでに自分なりの答えを持っていて、その答えに対して「そうだね」と言ってもらいたいのがほとんどです。
それなのに、せっかく心の底から悩んで打ち明けた悩みを親の考えひとつで喧嘩になることは多いにあります。
実際に親は、大なり小なり上下関係を意識します。その状況下では、親の意見は上からの押し付けに子供は感じます。
本来は横の関係を子供と築くことが大切で、横の関係を築いていれば、親の意見はアドバイスとして受け入れてくれます。
対人関係は横のつながりである
ではどうすれば横の関係を築くことが出来るでしょう。
そこで重要なことは、子供の悩みを聞いて一緒に悩むことが大切です。そうすることで子供は子供なりの答えを発し、横の関係を築くことが出来ます。
そして一緒に考えて悩んだ結論ですので、子供は今まで以上に前向きに物事を捉え、また、次も悩みがあるときは相談してくれます。
この繰り返しが、親と子の関係を太くし、横のつながりを築くことが出来ます。
ただ残念なことにその答えは全く親の考えと正反対の場合も多々あります。そのような場合の例として、私が体験した高校受験での志望校選びを例にしてお話します。
私の長女のことですが、高校は音楽の専門学校へ行きたいと言ってきました。色々調べた結果だったそうですが、親としては賛成できません。
ただ、どうしてその答えにたどり着いたのかを最後まで聞いてみると、普通高校へ行きたくない理由があり、その中に友達関係が見えてきました。そこで私は納得し、二人で音楽の専門学校を調べました。 様々なパターンを一緒に考えましたが、通学が2時間かかったり、将来性に不安もあったりとなかなか良い場所は見つかりませんでした。 さすがに娘から「あきらめるよ」と言ってきて、実はもともと勢いで考えたこともあったので、この件は本人が納得したようでした。 |
ここで重要なことは、初めにどんな意見にもまず初めに同調し、そしていっしょに考えることです。相談されたときに直接的でなく遠回しでもダメと言っていたら、本人は絶対に納得せず、また心を閉ざしていたことでしょう。
自分と子供と分けて考える
親は時たま、子供を親の分身のように接しているときはありませんか。
自分が泳げないから子供にはスイミングスクールに通わせるとか、英会話ができないから子供には小さい時から英語教育を学ばせるとか。
どうでしょう。思い当たるふしはありませんか。
しかし残念ながら、親の想像通りに子供は成長していかなかったことが多かったのではないでしょうか。
このときには子供と親は分けて考える必要があります。その考え方はアドラー心理学の中にあります。
課題の分離を意識する
先ほどの高校受験での志望校選びでもそうですが、子供が考えた志望校は子供の責任の下で決定した高校です。その高校へ行くのは子供であり、親である私たちではありません。
しかし多くの親は偏差値で判断したり、ガラが悪いと近所で評判だからこの高校はダメだとか。子供の意見を聞かずに親が志望校を決めることが多々あります。
本来であれば生徒の成績と多くの高校の特色を知っている担任の先生と生徒である私たちの子供とで志望校を決定していきます。
親はその決めた学校に対して金銭的なことや交通手段など親として考えなくてはならないことを最優先に考えることが大切です。
この考え方はアドラー心理学では課題の分離という考え方に当たります。
課題の分離とは「自分と他者の課題を分ける」という考え方です。
要するに自分と他者の責任を分けることが重要で、子供の課題は子供が解決し、親が介入することはならないのです。
逆に親は親の課題があり、親の課題は親が解決するべきことになります。
対人関係のトラブルは人の課題に土足で踏み込むこと、踏み込まれることから起こります。
高校の志望校選びにしても親の課題は金銭的なことは考えることで、子供が「私立は学費が高いから私立を受けるのはやめよう」と考えることは、親の課題に子供が介入している典型例です。
ただ、アドラーはこうも言っています。
もつれた糸を課題の分離でほどいた上で、自分だけでは解決できない課題については協力を求めても良いし、求められればできるだけ協力することが大事です
「自分だけでは解決できない場合は、他者の協力を求める」これは共同の課題です。
自分一人では解決できない問題は他者に協力を求めることはとても重要で、今悩んでいるママさんパパさん、そして子供たちはおそらく自分一人では解決できない問題を抱えているのではないかと思います。
そういった悩みの解決は他者に相談することが大切になります。
ひとは常に誰かとつながっている
悩みを持ち始めると一人孤独に感じることが多く、一人で悩み始めます。特に子育てに関しては、以外と親や友達に相談しにくいことも多いです。しかし、そういうときこそ、甘えなくてはなりません。
私自身が悩んだときには次を意識していました。
- 自分は弱く限界がある
- 1人で行き、問題を1人で解決しようとしたら滅びてしまう
- 人は他人と常に結びついている
学校の先生に相談
子供とのトラブルが起きた時は、まず初めに担任の先生と相談しましょう。
相談内容によっては学級担任や生活指導の先生、また保健室の先生や教頭先生や校長先生までもが相談に乗ってくれます。
先生は、私たち親が思っている以上に1人1人の子供たちを研究し、常にみてくれています。
また過ごす時間は親といる時間よりも長く子供たちと接しており、共同生活の中で先生たちは子供たちの良いところや苦手なところなど親が知らない性格までよく知っています。
私の経験ですが、息子は中学生の頃、とても荒れていて、特に家の中が暴力的になっていた時期がありました。
どうにも手が付けられなくなり、担任の先生に家庭内の状況について相談したところ、先生も息子から相談を受けていたそうです。
そのとき初めて、私たちが息子に対して知らず知らずに彼を追い込んでいたことがわかりました。
もともと勉強ができる子で、期待をしすぎてしまったことが原因だったのです。
そこから、私たちからは息子に対して勉強や受験のことは話さないようにし、息子も自分なりに考えるようになり、暴力的な行動は落ち着きました。
カウンセラーに相談
もし自分の子供がいつもと違うなと感じたら、早めに心理カウンセラーに相談することが重要です。
その訳は、子供の小さな変化を感じとった時には、実は大きな問題を抱えていることが多く存在しています。
中学生のころは親に自分のことを隠したがりますので、何か変化を感じるときはその隠しきれなくなっているくらい、悩み苦しんでいます。
そういった時には心理カウンセラーに相談してみて下さい。
ただ、子供に「行ってみよう」と言って無理につれだすのではなく、「私が相談を受けるので悪いけど一緒に来てくれる?」とあくまでも補佐としてついてきてほしいことを伝えてください。
学校にカウンセラーの先生が定期的に来ていることが最近では多いはずですので、うまく利用することも良いです。
もし犯罪に関わる状況であれば、迷わず心療内科へ受診し心理カウンセラーを紹介してみてください。
1人で悩まず協力をもとめる
誰にも相談できず1人で悩む親は結構多いです。
特に自分の子供って家族や自分自身をさらけ出すことになるので、なかなか人に相談する勇気がないですよね。
唯一の行動するとすればネットのサイトで体験談を調べるくらいかと思います。
確かにネットでも解決の糸口は見つかるかと思いますが、その情報に振り回される危険性があります。その子にはその子に合った解決方法があり、ネットの体験談がその子に合うとは限りません。
そのため先生やカウンセリングを悩まず相談することをすすめましたが、私自身、子供が中学生のころ、ネットの情報にかなり振り回され、そのたびに失敗を繰り返していました。
結局、最後には学校の先生に相談したことによって少しずつ改善していくのですが、そこにはアドラー心理学との出会いがあったわけです。よく人は一人では生きていけないと言われます。
これをアドラー心理学では共同体感覚と言います。
子育てをするうえでもその共同体感覚を持つことが重要で、常に意識すれば、悩み苦しいときには、素直に相談することができます。
共同体感覚とは「他者と結びついている」という意味で、ひとは一人では弱くすぐに限界に達してしまします。
自分は強く一人で困難に打ち勝つことができると思うことは自分自身が滅びてしまいます。
- 自分は弱く限界がある
- 1人で行き、問題を1人で解決しようとしたら滅びてしまう
- 人は他人と常に結びついている。
人は弱く限界があり、一人で解決しようとすると崩壊します。もっと人を信じて人と人とのつながりを大事にし、今までの自分を変えられれば、悩みも解決していくでしょう。
まとめ
親と子の関係は、時としてトラブルを引き起こします。
特に2回の反抗期と呼ばれる2歳~5歳と12歳~17歳は特にトラブルが起こしやすい時期です。この時期の親はいつも以上に冷静にただ心は熱く子供と接することが大事になっています。
親は子を1人の人として考えることができれば、親が子に持つイライラや過度に期待しすぎる気持ちなどはバカバカしく感じるはずです。
親と子は切っても切れない関係ですので、つながりを大事にし、縦ではなく横の関係を築ければ子供と良い関係を結ぶことができ、いままで感じている子供の悩みも解消してくるはずです。
子供たちが反抗したりトラブルが絶えない原因は親である私たちであること。そして、自分自身が変わることで子供たちも大きく変わります。それが本当の答えです。
それではまた。